祖母の着物の断捨離で失敗した話

私の祖母は二人とも着物の断捨離に失敗しています。

大量の着物を和タンスに残したまま後期高齢者になり、要介護の生活を5～10年送って亡くなりました。

大量の着物を断捨離しないまま歳をとるとどうなるかというと、介護中に
すごく邪魔になります。

祖母の部屋には着物を収納する和タンスがいくつもあって、部屋を狭くしていました。

介護用のポータブルトイレ、手すり、レンタルベッドを設置すると部屋は
さらに狭くなり、家具だらけでギッチギチの状態に……

「この和タンスがなければもっと部屋が広く使えるのに」
「車椅子も動かしやすくなるのに」
と介護中に何度思ったかわかりません。

祖母の認知症が進んでからは、部屋に和タンスがいくつもあることで物探しの場所が増えてしまって大変でした。

幸い、祖母は使用済みのオムツを隠す症状は出なかったので、和タンスが排泄物で汚れることはありませんでしたが、そういう話もよく聞きますよね。

もし和タンスの中に使用済みオムツを隠されたら、毎日いくつも引き出しを開けて確認する作業をしなければならず、介護する側がめちゃくちゃ疲労していたと思います。

このような実体験から、
「着物を断捨離するなら元気なうちに始めること。
特に大きな和タンスは介護生活に入る前に処分しておいたほうがいいこと」
を痛感しています。

口コミ

着物に限らず、もう使わないものを大量に溜め込んだまま
介護に突入すると大変なんだよね……

ある程度歳をとったら、暮らしやすくするために
物を減らしたほうがいいと思うよ

着物の断捨離はなぜ難しい？

祖母二人は着物を処分する気が全くなく、着物が着られなくなっても手放そうとはしませんでした。

着物の断捨離はなぜ難しいのか、その理由を考えてみました。

1. 着物に思い出があるから捨てられない

大切な人から贈られた着物や特別なシーンで着た着物は、思い出が邪魔をして
簡単には捨てられません。

着物を処分することで、思い出まで断ち切るような気持ちになるからです。

でも、思い出のある物を全部取っておいたら、いつまでも片付かないですよね。

私は忘れたくない物は写真を撮ってから処分するようにしています。

着物をリメイクして再利用することをおすすめしている人もいますが、リメイクする手間で断捨離を挫折しかねないので、私はどこかで踏ん切りを付けて処分した方がいいと思います。

2. 着物は一点物だから捨てられない

着物はどれも一点物です。

一度処分したら、同じものは二度と手に入りません。

そのため、処分するのに慎重になってしまうのかもしれません。

3. 着物の価値が下がっていることを認めたくない

着物はマイホームや車と同じように新品を買うときの価格が一番高くて、
中古になった途端にガクンと価値が落ちるものです。

中古の着物はリーズナブルな価格で売買されています。

着物を捨てるにしても売るにしても、処分する際には『買ったときの価値を失っていること』を突きつけられます。

そのため、高価な着物ほど処分するときに覚悟が必要です。

4. 着物の状態を確認するのが怖い

着物の手入れを怠って何年も和タンスに入れっぱなしにしている場合、
シミ・カビ・虫食いの確認をするのが億劫になってしまうケースもあるでしょう。

汚部屋のように、半端な気持ちじゃ手を出せなくなって、問題を先送りにしてしまうパターンですね。

5. 着物の量が多すぎて手を出しづらい

着物の量が多くて断捨離に時間がかかりそうな場合、なかなか手が出しづらくなってしまいます。

もっと余裕があるときにやろう、他のものを先に処分しよう、と着物の処分を後回しにしてしまうケースもあるかと思います。

6. 着物は宝物という気持ちが強い

お年寄りの中には「着物は宝物だから、処分するなんてとんでもない」と
考える人も多いのではないでしょうか。

私の祖母は着物を消耗品ではなく、いつまでも価値を失わないお宝、
あるいは財産だと考えているようでした。

自分がその着物を着なくなっても、子や孫の誰かが受け継いで役立てるはずだと信じていて、ジェネレーションギャップを強く感じましたね。

孫世代は誰一人、自分では着付けができないし、家に着物をしまう和タンスもなく、高価な着物を着て出かける機会もありません。

大量の中古着物を喜んでもらってくれる人は、親族にはいませんでした。

祖母は着物の話をするとき、「私はこんなに良い着物を持っているのよ」と誇らしげな様子でした。

戦前生まれの女性にとって、着物は社会的ステータスの象徴だったんでしょうね。

女性の社会進出が限られていた時代、学歴やキャリアの代わりに着物で自分をアピールしていたのかな、と思いました。

口コミ

お年寄りの着物への思い入れはすごいよね～
本人が着物を大事に思っている場合、
周りが断捨離を勧めるとケンカになりそう……

私の祖母二人は1～6の理由が絡み合った形で、一枚も着物を手放さずに亡くなりました。

ちなみに、着物以外の物も全く断捨離してくれませんでした。

遺品整理が大変すぎて、私自身の物欲はかなり減りました。

着物の断捨離 失敗エピソード

祖母たちが生前に着物を断捨離できなかった経緯を振り返ってみました。

case1
認知症で服を片付けられなくなった祖母の話

老いると物を捨てられなくなり、断捨離を拒むようになる

祖母のH子さんは着物を処分しないまま80代後半に突入し、認知症を発症。

認知症の症状が邪魔をして、物を捨てることができなくなりました。

特に顕著だった症状は次の３つです。

物を捨てることを嫌がるわりには、物のお手入れには全く無関心になってしまうのが不思議でした。

着物も持っていることだけが大事で、和タンスにしまいっぱなしのまま何年も放置しているのは全然気にならないようでした。

断捨離という概念が通じない祖母

そもそも祖母は認知症になる前から

「大量に着物を遺したまま亡くなると、遺族が処分に困る」

という発想がありませんでした。

祖母自身は両親を早くに亡くしており、親の介護も遺品整理も経験していません。

他人の物の処分で困ったことがなかったんですね。

「断捨離？終活？そんなの知らない。
死後のことは全部、子どもが好きにすればいいでしょ」

という価値観です。

戦争で物がない時代を経験しているせいか、物は使おうが使うまいが溜め込む主義。

押入れはスキマなく物でびっちり。

「物を減らしてすっきり暮らしましょう」と外から提案しても、全く響かないようでした。

着る物を片付けられなくなった祖母

祖母は認知症になってから服を片付けられなくなり、しょっちゅう
「パジャマがない！」「下着がない！」
と探すようになりました。

例えばパンツを片付ける場所はいつも決まっていますよね。

普通の人なら無意識で同じ場所に片付けることができますが、祖母は

(1) パンツをどこの引き出しにしまえばいいか判断できなくなり、

(2) 定位置ではない場所にパンツを入れ

(3) パンツをどこにしまったか、数分前のことでも忘れてしまいます。

そのため、自分で片付けたものを「なくなった！」と言って探し回っていました。

着る物と収納場所が多すぎて、探し物が終わらない

祖母が認知症を発症する前に、もう着ない着物と洋服は処分して、タンスの数を減らしておくべきでした。

収納場所が多すぎて、祖母がなくした物を探すのに苦労しました。

• 和タンス
• 洋服ダンス
• 押入れ・天袋の衣装ケース
• 廊下のクローゼット

にぎっしり詰まった祖母の衣類。

あっちにもこっちにも服を入れる場所があるから、本人も余計に混乱していたようです。

死後に整理したら、8割は10年間以上着ていない服でした。

着物のほかにも、分厚い肩パットが縫い付けられた昭和のスーツがたくさん出てきましたよ。

私はミニマリストが良いとまでは言いませんが、本人が管理できる以上の物を持つと、老後は確実に暮らしにくくなると思います。

もう使わないものを収納しておくために、部屋を狭くするのももったいないです。

祖母が要介護者になってからは介護グッズがあれこれ必要で、祖母の部屋は物で溢れていました。

私は後期高齢者が安全・快適に暮らすためにも、元気なうちに使わないものを断捨離しておいた方がいいと思います。

結局、着物はカビていた

酷いオチなのですが、祖母の死後に着物と帯を確認したら、カビとシミだらけの酷い状態でした。

虫干しせずに何年も着物ダンスに放置していたら、そりゃそうなりますよね……

大量の防虫剤もカビとシミには効果がなかったようです。

家族も介護中は余裕がなくて、着物の虫干しまでは気が回りませんでした。

本人にとっては宝物が入った和タンスも、管理ができなければカビの培養器になってしまいます。

着物も帯もとても着られる状態ではなく、燃えるゴミで処分しました。

case2
パーキンソン病で着物が着られなくなった祖母の話

着物はいずれ着られなくなる

母方の祖母E子さんはパーキンソン病と認知症で長く闘病生活を送り、89歳で亡くなりました。

生家が呉服屋で、昔から良い着物をたくさん持っていました。

祖母は晩年、パーキンソン病が進行して着物を着られなくなりました。

それでも祖母にとって着物は「まだ使える宝物」で、処分することは考えられなかったようです。

和装では車椅子に乗れない

女性の着物は動きにくいので、体が不自由になったらいずれ着られなくなります。

足腰の筋力が衰えると、立ったまま着付けをすることがまず難しいです。

着物姿では、トイレの介助もままなりません。

祖母が車椅子に乗るようになってからは、冠婚葬祭は全て洋装で出席しました。

「自分の物」にこだわる祖母

E子さんも認知症になってから、物への執着が強まりました。

お気に入りのクロコダイルバッグ、オーストリッチのバッグを何度も取り出して確認する癖が出たり、

「他の女性利用者に見せたい！」

と言って、デイケアにお高いダイヤの指輪を付けていきたがったり。

どうも、デイケア先にライバル視している女性利用者がいたらしく、その人がイヤリングや指輪を付けてくるので張り合いたかったようです。

女同士のマウンティングって認知症になっても終わらないんですね……

※もちろん、デイケア先では嫌がられます。高価なジュエリーを持ち込んで失くすと施設側の責任問題になるので……

認知症になる前は装飾品を身内以外に自慢することなどなかったので、
驚きました。

断捨離は他人事だった

祖母と同居していた伯母が、やましたひでこさんの断捨離TV番組が好きでよく視聴していました。

残念ながら、祖母には全く響かなかったようです。

祖母は生前整理は何も行わず、着物やバッグ、毛皮、宝石、お稽古道具、飾り物、大量の食器などを遺して亡くなりました。

長く使わないまま放置されて、着物にはシミが、オーストリッチのバッグにはカビが生えていました。

高級品だけでも本人がしっかりしているうちに断捨離できたらよかったのですが、本人にその気がないと難しいですね。

「これ、もう着ないでしょ」と言って処分を勧めると、100%怒るんですよね。

着物の断捨離にはエネルギーがいる！

祖母二人を見て感じたのは、

断捨離はやれるうちにやっておかないと、ギリギリの年齢になってからでは遅いということです。

何歳がタイムリミットなのかは、個人差があると思いますが……

認知症を発症してからでは遅いのは当然ですが、祖母二人はその何年も前から何事も面倒くさがるようになっていました。

遅くとも70代から物を減らしていかないと、なかなか難しいのではないでしょうか。

体力・判断力・決断力が衰えないうちに取り組むのが、着物の断捨離を成功させるコツだと思います。

50代・60代から着物の断捨離をスタート！

私の母は実母と姑を反面教師にしたらしく、
60代から着物の断捨離を始めました。

あと数年で和タンスを処分できそうな見通しです。

喪服とお気に入りの訪問着数着を残して、タンスの肥やしになっていた着物・帯は全て処分したそうです。

母がどんなふうに着物の断捨離を進めたのか、やり方を聞いてみました。

着物の断捨離は少しずつでいい！

母

中高年になったら顔色がくすんで、明るい色の着物と派手な柄の着物が似合わなくなるの。

似合わない着物を処分して、枚数を減らしていくといいよ。

訪問着と留袖は子どもの卒業式・結婚式が終わったら、
着る機会が減ったから処分したよ。

とのことでした。

が出たら、手放していけばいいわけですね。

例えば、結婚したら振袖を処分、夏に和服を着るのがきつくなったら浴衣や夏着物を処分できそうですね。

喪服を処分する

母

そろそろ喪服を処分したいと思ってるの。

お葬式で朝から黒喪服を着付けて、一日中着物で動き回るのはしんどいのよね。

最近は喪主の奥さんでも、洋装のブラックフォーマルでお葬式に出席していることが多いしね。

喪服を和装・洋装どちらも用意しておくのは大変です。

お葬式はなぜか真夏と真冬が多いですよね。

日本の夏は年々暑くなって着物に合わない気候になっていますし、黒喪服を着るのが辛くなったら処分していいんじゃないでしょうか。

若い世代は洋装のブラックフォーマルのみの人が多数派だと思います。

そもそもの話、自分で着物の着付けができなければ、突然のお葬式に和装で参列できません。

若い人はその時点で「黒喪服無理」ってなりますよね。

着物は着る前の準備も、着た後の汚れ落としも、洋服よりも手間がかかります。

本人に体力があって、生活に余裕がないと着られないと思います。

黒喪服を着て葬式に出る文化はいずれなくなるんじゃないでしょうか。

口コミ

ちなみに、黒喪服は着物の中でも特に買取価格がつきにくいよ。

需要がほとんどないんだって。

黒喪服を売るときは、無料引き取りくらいの気持ちで査定してもらったほうがいいかも……

着物の処分を次世代に任せない

アラフォーの私が言うのもなんですが、若い世代は着物に詳しくありません。

私は最近になるまで大島紬が高いことも、作家着物という高級着物があることも知りませんでした。

できれば、着物の価値がわかる親世代に、着物の状態が良いうちに断捨離してもらいたいのが本音です。

私自身、祖父・祖母の遺品整理を手伝ってきましたが、価値がよくわからないものを大量に処分するのって、本当に大変なんですよね。

やってもやっても終わらず、気力も体力も消耗します。

ちなみに、祖父・祖母が亡くなってから5年以上経ちますが、遺品整理はまだ終わっていません。

いつ頃終わるのか、目処もついてません。

私は親が亡くなった後、大量の遺品を何年もかけて処分するのは嫌です。

もう使わないものはなるべく生前整理してほしいです。

着物が傷む前に断捨離する

私が遺品整理で祖母の着物を処分したときに痛感したのは、
着物は日本の高温多湿の気候に合わなくなっている、ということです。

庶民がタンスの中に着物を入れっぱなしにして、湿度の管理をせずに放置したらカビだらけになります。

着物は金の延べ棒や美術品とは違って、どんなに高くても消耗品なんですよね。

一度袖を通したものの価値は一気に下がりますし、ちゃんとお手入れできなければどんどん傷んで価値がなくなってしまいます。

私の祖母は着物の手入れができなくなっても手放せず、結局カビさせてしまいました。

着物をだめにしたくなかったら、自分で手入れできなくなる前に手放さないといけないんでしょうね。

着物をどうやって処分すればいい？

着物を処分する方法は、大きく分けて5つあります。

このうち、2と3の方法は着物をもらってくれる人がいつ現れるのかわからないので、すぐに着物を処分したいときには不向きです。

知人友人に声をかけてタダで着物をもらってくれる人も探しても、そう何着もはもらってくれません。

数着譲って、残った着物の処分方法をまた考えることになるでしょう。

NPO・NGO団体への寄付は慈善活動なので、送料をこちらで負担するものが多いです。

無料で着物を処分したいときには不向きです。

私のおすすめは、売れる着物は買取業者にまとめて売って、売れなかったものは燃えるゴミとして処分することです。

着物を燃えるゴミの袋に入れるのは胸が痛みますが、買取業者に査定してもらった後に売れ残ったものなら、「これはもう価値がないものだから」と諦めがつくと思います。

自宅まで着物を取りにきてくれる出張買取なら、かさばる着物や帯、小物を持ち出さずに売れますよ。

着物の出張買取はかなりスピーディで、着物の量がものすごく量が多いとかでなければ、大体1時間くらいで査定してもらえます。

プロが「この着物は価値がある、これは価値がない」とその場で教えてくれるので、着物の価値を知った上で処分できます。

出張買取を利用するなら、クーリング・オフにしっかり対応している大手の買取業者が安心です。

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バイセルは出張買取業界で顧客満足度No.1の評価を獲得している買取業者です。（ゼネラルリサーチ調べ）

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出張買取のクーリング・オフとは？

出張買取で買取業者に着物を売った後、売買契約から8日以内であれば
無条件で買取をキャンセルできます。

これをクーリング・オフと呼びます。

なお、店舗での買取と宅配買取にはクーリング・オフ制度は適用されません。

バイセルに着物の出張買取を頼める地域は？

バイセルの出張買取は離島地域以外、全国どこに住んでいても申し込めます。

出張料金は無料です。

なお、査定料・キャンセル料も無料です。

査定後に買取が成立すると、その場で着物を現金で買取してくれます。

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着物の出張買取について電話で相談できる！

バイセルでは、電話で出張買取の申し込みを受け付けています。

コールセンターは24時間対応で、通話料は無料です。

着物の買取について何か気になることがあれば、買取を申し込む前に確認できますよ。

男性を自宅に上げるのが不安な人は、女性の査定員を依頼できます。

買取を申し込むときに、オペレーターに希望を伝えてみてください。

まとめ

着物の断捨離は本人がやる気にならないと、なかなか難しいものです。

「着物の数を少し減らそうかな」と思い立ったときが始め時なのかもしれません。

着物を断捨離すると和タンスも処分できるので、部屋が広く使えるようになりますよ。

断捨離後のメリットも考えつつ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。